側弯症 専門

◯側弯症とは

脊柱側弯症とは、さまざまな原因で背骨が弯曲してしまう病気です。その中でも成長期である小学校高学年から中学校時代に発症する思春期特発性側弯症が全側弯症の80～90％を占め、最も多いものです。

脊柱を正面から見た場合に、左右に曲がっている状態を脊柱側弯症といいます。弯曲の大きさは、上下で最も傾いている背骨どうしのなす角度 （コブ角）で判断 しますが、この角度が10°以上であるものが側弯症です。

側弯症は手術が必要と判断されるような角度（40°〜50°以上）になっても、痛みなどの症状がない場合もあります。

しかし、進行すると、健康に直接影響を及ぼすような障害を引き起こすことがあります。

◯側弯症の原因とは

先天的な原因の明らかな「先天性側弯症」と、特に原因のない「突発性側弯症」とに分けられ、側弯症と診断された80％以上が「突発性側弯」になります。

また、「機能性側弯」と言って、普段の姿勢の悪さや、ヘルニアや狭窄症などの痛みを庇うために、身体に側弯のような捩れが出る事がありますが、この場合は骨の変形は無く痛みがとれたり、姿勢が良くなると、症状は改善していきます。

発症は小児期に発症を見られ、特に思春期の女性に多いのですが、大人でも発症することがあり、誰でも注意が必要です。

特に背骨の湾曲や捻れからくる見た目の問題は、思春期の女性にとっては大きな問題になります。

私が経験した患者さんの多くが思春期の女性でした。

ですので本人よりも親御さんの方が、今後の症状の悪化から来る見た目の問題と、手術になった際の不安を仰られる方が多かったです。

◯側弯症は治りますか？

病院での治療では、

軽度の側弯症　

コブ角が20度以下の場合は、経過観察になる事が多く、半年に一回ぐらいの通院でコブ角の測定を行い、状態を確認することになります。

体操やストレッチなどを指導される事が多いです。

中度の側弯症　

コブ角20度以上の場合はコルセットを処方され、最初のうちは就寝中も着けるように指導されます。

治療を並行して行い症状が軽減したり維持できてきたり、また成長期が終わるにつれて、装着の時間が短くなるよう指導されることが多かったです。

重度の側弯症　

コブ角が40度以上の方には、手術を勧められることが多いです。

余談ですが、これまで何人か手術を受けた方の治療をさせて頂きました。昔に手術をされた事もありますが、背骨が真っ直ぐとは言い難く、来院された理由もお身体に痛みが出ての方が多く、治療を受けて頂くことで症状が改善しますので、背骨の変形が原因というよりは、その状態で筋肉や関節が固まってしまう事が原因である場合が多いように思います。

このように病院ではコルセットはこれ以上進行させない為で、症状の改善を望む場合は手術の適応となります。

当院の治療でも骨の変形自体は治りませんが、それ以外の自律神経の緊張、筋肉の緊張や関節の可動域を改善をさせることでコブ角や捻れが減少する方が多く、それが原因で発生している痛みも改善します。

特に成長期の場合、治療を受けて頂きながら良い状態を維持し、背骨の成長が促されると、真っ直ぐになるとは言えませんが、症状が改善される可能性が高くなります。

◯側弯症の腰痛や背中の痛み

大人の側弯症の方に多いですが、首や肩や腰に慢性的な痛みを訴える方が多いです。これは側弯から来る筋肉の緊張と背骨と肋骨の関節可動域の減少が原因となっています。

この状態を改善するために、筋肉に施すマッサージだけではその時は良くてもすぐに痛みが戻ってしまいます、ですので同時に関節可動域を改善する必要があるのです。

また、もう一つ大事なのが自律神経の緊張です。

長い間悪い姿勢を続けてきたことで、痛みや痺れやストレスという侵害刺激の影響で、固まってしまっている身体の緊張を取っていきます。

これは自律神経の乱れから、交感神経優位という状態になってしまい、防御反射という現象が起こり、血液の循環が悪くなってしまっているからなのです。

血液の循環が悪くなると回復力も低下します。防御反射とは簡単に言うと、身体から力が抜けなくなってしまっている状態をいいます。

まずこの状態を改善しないと、身体は本来の力の抜けた自然な状態に戻っていきません。

また子供さんに施術する前に確認すると、どこのも痛みはありませんという方が多いのですが、いざ治療を受けた後でもう一度確認すると、肩や腰が楽になったという反応が多いです。

これは少しずつ歪んでいく状態に感覚が適応してしまい、それが普通の感覚で痛みや動きにくさや重苦しさを感じなくなってしまっているからです。

◯側弯症の手術リスク

病院での治療の際、手術は最終手段になります。

背骨をプレートやボルトで固定し、真っ直ぐにしようとするのですが、場所が場所だけに大掛かりな手術になります。

どこまで改善するかはやってみないとわからないのはどの治療法でも一緒です。

また何人か手術を受けた方の治療をさせて頂きましたが、昔に手術をされた事もありますが、背骨のコブ角は減少しますが捻れはあまり変化無いように見えました。そういう方が来院された理由もお身体に痛みが出ての方が多く、手術をしてもそのままで時間が経てば、痛みが発症することが多いように思います。

背骨の湾曲や捻れからくる見た目の問題は、思春期の女性にとっては大きな問題になります。

私が経験した患者さんの多くが思春期の女性でした。

ですので本人よりも親御さんの方が、今後の症状の悪化から来る見た目の問題と、手術になった際の不安を仰られる方が多かったです。

◯大人の側弯症

大人の側弯症の場合、子供の成長期ほど急激に進行することは少ないですが、放っておくと少しずつ進行していくことが多いです。

それに伴い肩の高さの差や骨盤の位置のずれ、脚長差などが起こります。

その後、首や肩や背中や腰に痛みが出ます。ひどい場合は上肢や下肢に神経症状が出る方もいらっしゃいます。

特に女性の場合、閉経後にホルモンバランスが崩れますので、そこから来る骨粗鬆症で背骨が弱くなります。

そこで怖いのが圧迫骨折です、尻もちやくしゃみで起こることが多いのですが、その場合は強い痛みがあり、病院でわかります。

骨粗鬆症からくる圧迫骨折は、痛みが無く少しずつ変形していくことで気づかない事が多く、姿勢がだんだん悪くなって来たと思いながら、病院に行ってみたら圧迫骨折から来る背骨の変形が起こります。

こうなると骨の変形はもう治りませんので、手術をするにしても年齢の問題があり多少の痛みや生活に支障があっても、経過観察になる事が多いです。

◯側弯症の治療費はいくらが相場？

側弯症の場合、どの様な状態を完治とするのか難しいのですが、各治療にかかるおおよその費用を解説します。

コルセット　約30〜50万程

コルセットは危険性も無く、側弯の進行を少しでも軽減する為には大切です。実際治療と並行してコルセットの使用をお願いしています。ただ、成長期のお子様には成長に比例して、何回か作り直す必要がある場合が多いです。

もちろん保険治療ですので、この金額の保険負担分の金額になります。

手術　約１５０万～２００万円程

症例により異なりますが、側弯症の手術は高額の手術材料を大量に使用するため、 患者様の自己負担額はかなり高額になります。

主に成長期を終られた方に対して行う事が多いですが、高齢の場合は経過観察になる場合も多いです。

もちろんこれも保険治療ですので、この金額の保険負担分の金額になります。

個人的には、手術はどうしても色々なリスクがありますので、もし可能でしたら色々の治療を体験して頂いて、それでもダメな場合の最後の手段として考えて頂ける方が良いのでは無いかと思います。

◯側弯症のストレッチは効果がある？

側弯症にストレッチは効果があるのかと、よく聞かれます。

効果が無いとは言いませんが、どうしても側弯症の場合、自律神経と筋肉と関節という三つの原因がある為、ストレッチで筋肉だけを緩めても自律神経と関節がそのままでは効果も減ってしまうのでは無いかと思います。

また、側弯症の方々全てが同じ症状では無い為、それを一律に同じストレッチを行う事は、少し難しいのでは無いかとも思います。

当院では、治療と並行してそれぞれその方に合ったストレッチとエクササイズを、治療の過程に合わせてその都度ご指導させて頂くようにしています。