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2023/04/20 (更新日:2023/04/27)

側弯症の症状と当院の治療について。

側弯症, 治療

今回、側弯症についてお話しさせて頂ければと思います。今まで多くの方に、側弯症の治療をさせて頂いてきました。その中で私が感じた事や、思った事を書かせていただきます。

側弯症の分類

先天的な原因の明らかな「先天性側弯症」と、特に原因のない「突発性側弯症」とに分けられ、側弯症と診断された80%以上が「突発性側弯」になります。

また、「機能性側弯」と言って、普段の姿勢の悪さや、ヘルニアや狭窄症などの痛みを庇うために、身体に側弯のような捩れが出る事がありますが、この場合は骨の変形は無く痛みがとれたり、姿勢が良くなると、症状は改善していきます。

発症は小児期に発症を見られ、特に思春期の女性に多くのですが、大人でも発症することがあり、誰でも注意が必要です。

側弯症の症状

・背骨の湾曲・捻れ。

・肩の高さが左右で違う。

・肩こりや腰痛。

・同じ姿勢で長時間いると痛みが出る。

・ある動きでの身体の痛み。

・身体が左右どちらかに傾いている。

・心肺機能の低下。

などがあるのですが、背骨の湾曲や捻れからくる見た目の問題は、思春期の女性にとっては大きな問題になります。

私が経験した患者さんの多くが思春期の女性でした。ですので本人よりも親御さんの方が、今後の症状の悪化から来る見た目の問題と、手術になった際の不安を仰られる方が多かったです。

病院での治療法

軽度の側弯症 

コブ角が20度以下の場合は、経過観察になる事が多く、半年に一回ぐらいの通院でコブ角の測定を行い、状態を確認することになります。体操やストレッチなどを指導される事が多いです。

中度の側弯症 

コブ角20度以上の場合はコルセットを処方され、最初のうちは就寝中も着けるように指導されます。コルセットにより症状が維持できてきたり、成長期が終わるにつれて、装着の時間が短くなるよう指導されることが多かったです。

重度の側弯症 

コブ角が40度以上の方には、手術を勧められることが多いです。余談ですが、何人か手術を受けた方の治療をさせて頂きました。昔に手術をされた事もありますが、背骨が真っ直ぐとは言い難く、来院された理由もお身体に痛みが出ての方が多く、背骨の変形から来る症状が多いように思います。

思春期の患者さんに対しては、上記の様に症状に合わせた治療を行います。注意が必要なのは、成長期の間に背骨に負担が掛かり、症状が悪化することです。成長期の間にコルセットを併用し、背骨に掛かる負担を減らし、良い姿勢を維持し成長してもらうことで、症状の軽減を目指すことは可能です

当院での治療法

なぜ側弯症の症状は改善しにくいのでしょう。

長い時間悪い姿勢や、繰り返し同じ身体の使い方をしていることで、身体が緊張し歪んでしまった背骨の可動域が、狭くなってしまっているからです。

特に体幹から股関節周辺の関節や筋肉が、繰り返しの同じ動きや、今までの悪い姿勢により柔軟性が低下したり、筋肉の力の入り具合に左右差が出たりすることで、不安定になります。その状態が続いたまま生活を続け、同じ動きを繰り返すことで、その動きや姿勢を身体が覚えてしまい癖となります。そうすると負担が少しずつ溜まっていき、限界を超えたところで、成長期の背骨の負担になったり、痛みとして現れてきたりするのです。

ですのでまずこの身体の緊張を取り、本来の背骨の可動域を拡げ、負担を取り除く必要があります。これを最初に行わず、背骨の治療だけをしても、なかなか改善していかない方が多いのです。

では、どのように治療を行うか。

当院の治療では、まず長い間悪い姿勢を続けてきたことで、痛みや痺れやストレスという侵害刺激の影響で、固まってしまっている身体の緊張を取っていきます。これは自律神経の乱れから、交感神経優位という状態になってしまい、防御反射という現象が起こってしまっているからなのです。

防御反射とは簡単に言うと、身体から力が抜けなくなってしまっている状態をいいます。まずこの状態を取らないと、身体は本来の力の抜けた自然な状態に戻っていきません。

次に固まってしまっている、背骨の可動域を取り戻すことで、本来の良い姿勢が取れる状態を作ります。ここで背骨にかかる荷重が軽減され、この状態を身体が思いだすことで、今まで悪い姿勢の間に働かなくなっている筋肉に刺激が入り動き始めます。この状態を維持することで、成長期の背骨に掛かる負担を軽減し、本来の真っ直ぐ伸びて行く事ができる様にしていきます。成長期で軽度の側弯症なら、この状態を維持して行くことで、真っ直ぐとは言いませんが背骨の歪みの改善は可能です。

また成長期以外の側弯症でも、ある程度の歪みや側弯症から来る痛みや痺れの改善は可能です。

◯下記は中学一年生の冬から見させて頂いた、女の子の二年間の変化の記録になります。基本二週間に一回の通院をしてもらっていました。

上 2021/04/01  左 装具無し (胸 30° 腰 18°) 右 装具有 (胸 25° 腰 15°) 

下 2023/01/01  左 装具無し (胸 21° 腰 13°) 右 装具有 (胸 17° 腰 10°) 

最後にお願い。

側弯症という病気は、最初にも書いたようにいまだに原因不明です。ですので、今側弯症の治療が終わり、今まであった歪みや痛みが改善したとしても、定期的に病院でレントゲンを取りコブ角を確認して下さい。

よほどのことがない限り、症状が進行することはないとは思いますが、一度変形してしまうと最終的には手術しか方法がなくなります。そうならないように、定期的に状態の確認は、して頂ければと思います。特に女性の場合は高齢になると、どうしても骨粗鬆症が多く見られます。骨が脆くなるとどうしても変形しやすく、側弯の症状がない方でも圧迫骨折を起こしやすくなり、そこでの側弯症の様な変形が起こることがあります。

これは今まで私が見た患者さんには、全員お願いしてきたことです。もし今あなたが側弯に悩まれているのならば、今お悩みの症状が改善した後も、できれば覚えていただけますと幸いです。

 

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